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語学は楽しむことが何より大事 『ポケットに外国語を』黒田龍之助

私は昔から外国語に興味があり、NHKの語学講座を録画して見たり、社会人になってからは色々な言語の入門書(マイナーなところではアイヌ語ラテン語など)を好んで買っていました。

 

ここまで書くと非常に外国語に詳しい人間のように見えますが、実態をバラしてしまうとほとんどが初級段階すら達しないままで挫折してしまっているんですね(笑)NHKの講座だと3回目の放送まで見ていればいいほうで、教本だと3ページ目くらいの文字の読み方に達するまでに本棚にしまわれてしまっていました。語学に限らず飽きっぽい性格なので…。

とはいえ、そんな中途半端な状態はよくないとずっと気にはなっており、何か1つくらいモノにしたい、いやしなければと思っていました。

 

そんな中で、いつか読んだことのあるロシア語の教本を監修されていた黒田龍之助氏の語学エッセイ『ポケットに外国語を』が目にとまり、気になったので読んでみました。

ポケットに外国語を (ちくま文庫)

ポケットに外国語を (ちくま文庫)

 

 ちなみにロシア語の教本は例文の会話の日本語訳を追っただけだったのですが、かなり独特で皮肉っぽい内容で、およそ語学書の例文らしからぬ風変わりな文章でした。その文章の面白さの記憶も、この本を読もうと思った契機の1つです。

 

著者の黒田龍之助氏はロシア語を専門とされていて、ロシア語を含むスラブ系言語全般にも造詣が深い方です。ただ本文を読むとわかるのですが、それに限らずリトアニア語、スウェーデン語、フランス語などにも興味を持たれて、かなり手当たり次第に学習されています。
各言語の学習のきっかけはどれもちょっとしたことで、古書店で古いスウェーデン語の文法書を見かけたとか、通っていた図書館にフランス語のカセットテープがあったからなどです。とにかく、興味がでたら手を出してみる。単語集を眺めてその言語独特の語彙(ある分野に関して日本語よりはるかに多くの単語がある、とか)を味わったり、その言語の映画や小説を読んで異文化の世界に浸ったりと、語学を楽しむヒントがたくさん紹介されています。

 

また楽しむ語学と対比して、現在の英語教育が実利や効率、TOEICの点数を重視しすぎて楽しむことが忘れられていることも指摘されています。著者は大学で英語を教えられていた経験から、学生が英語を楽しめていないことを非常に悲しまれています。

 

最後に、リトアニア語の学習の経験について書かれた章にあった言葉を紹介します。
『この先、わたしのリトアニア語はたいしてうまくならないだろう。それでも勉強は懲りずに続けていくと思う。』
著者の外国語に対する純粋な愛情。外国語の学習の道は険しく容易には行かないけれども楽しいから続けられる。誰かと競いあったりもしないし、何かの役に立つわけでもないけどやる。この姿勢に、外国語学習のみならず趣味の真髄を見た気がしました。

 

私ももう少し肩の力を抜いて、本棚の教本を眺めてみようかなと思いました。